作 品 |
紅い牙・ブルーソネット |
作 者 |
柴田昌弘 |
コミックス |
花とゆめコミックス |
初 版 |
―――― |
初 出 |
「花とゆめ」にて1981年11号より連載、1986年18号にて完結。 |
登場人物:ラン、ソネット、バード、イワン、ワタル、桐生、由里、榛原家族、ドクターメレケス、組織タロン、その首領ザグその他多数 |
あらすじ:紅い牙・狼少女ラン、紅い牙II・鳥たちの午後、紅い牙III・さよなら雪うさぎ、紅い牙IV タロン・闇に舞うタカ、紅い牙V コンクリート・パニック、紅い牙VI・ハトの旋律を経て、満を持して登場したシリーズ最長作「ブルー・ソネット」。ランの中に秘められた古代超人類の力をつけ狙う組織タロンが放った最強のサイボーグ・エスパーソネットとの、悲しくも激しい闘いが繰り広げられる。その闘いはタロンの陰謀によりランの身辺から多くの若者、日本社会、果ては世界を巻き込み、やがて阿蘇での決戦を迎える。 |
コメント:本作第1巻の初版は1981年。今から約20年前。連載当時から気になっていながら最近になってやっと読む機会を得たわたしがまず驚いたのが、それだけの年月を感じさせない迫力である。そのリアリティは、息もつかせぬ勢いで次々と展開されるアクションシーンによることももちろん大であるがそれ以上にストーリーによるところが大きい。筋書き自体は超能力少女とその仲間たち、彼らを利用し、つけ狙う組織との壮絶な闘いという、そう珍しいものではない。しかし敵対する立場であるソネットの悲しい過去、サイボーグの身になりながらランを見守り戦いつづけるバードとの関係、そして何より、ラン自身の、自らの強大な力への恐れ・戸惑いといった内面的なからみが、物語に厚みを持たせている。一方でタロンによる人心を巧みに操った陰謀はそのまま現代にも通じるところがあり、いっそうのリアリティで迫ってくる。SFアクションというにとどまらない秀作。 |