あらすじ:アメリカのカリフォルニアから、ニューヨークにたどり着いたヒース。18歳の彼は、かつてカリフォルニアで知り合った画家のインディアンを訪ねてきたのだが、途中の旅で変なのがおまけについてきた。それが二つ年下のイーブ。カリフォルニアへ向うはずだったイーブは、なぜかヒースにくっついて、出身のニューヨークへ舞い戻ってしまったのだ。そのイーブは、結局ヒースがインディアンに世話してもらった、インディアンの上の階の部屋でヒースと共同生活を送るようになる。
さて、当初予定になかった同居人とともに、ヒースのニューヨーク生活は始まった。ところがこのイーブ、字が読めなくて、虫下しを「頭のよくなる薬」とだまされて買わされそうになったり、神様を深く信じて、冒涜するヒースを殴ったりする。ヒースについてきた理由も、どうやら、タバコをくれたからだったらしい。彼が言うところでは、彼の父親はプエルトリコ系の移民で仕事も満足になく、貧乏で、ただでものをくれるような人はいなかったという。人に、ものをあげられるのは、自分が充足しているからだというイーブ。(C)咲花圭良
手癖は悪いが、どこかおめでたすぎる純粋さにひかれ、ヒースはこの同居人に心を許すようになるのだった。
そうこうするうちに、ヒースの元へカリフォルニアに来る途中で知り合った、ブッチが訪ねてくる。彼は、マラソンをやっていたヒースが市民マラソンに参加するのではないかと、朝のマラソンコースをはっていたのだった。
そのマラソンは、インディアンやイーブも含めて全員で参加することになり、みんなで当日まで練習することになった。そのマラソンの練習をしている途中、ヒースがなぜ、走ることがすきになったのか、イーブに語るのだった。
子供の頃から父親と折り合いの悪かったヒースは、10歳ぐらいの時に庭の手入れをする黒人と仲良しになり、彼に走る楽しさを教えてもらったのだという。かつてボクサーだった彼はヒースが珍しく心許した相手で、しかし残念ながら、彼は戦争に行ってしまった。哀しい別れの後、彼は旅立ち、そして部隊を逃げ出し、ヒースをひどく失望させもしたのだった。
結局ロードレースは参加したものの、ヒースがトップに躍り出たところで途中リタイアした。
物語はその後、ヒースのかつてのカリフォルニアでのガールフレンド・エレインが訪ねてきたり、ブッチの妹スゥエナが訪ねてきたりしつつ、ヒースの子供時代から、少年時代のカリフォルニアでの生活や、また、イーブの出自などが解き明かされていく。