コメント:笑いすぎて泣いてしまう。
あらすじに書いた筋もなかなか面白いのだが、その行間に盛り込まれたギャグがたまらない。もうこれを文章で表現することほど、無粋なことはないのではないかとさえ思う。
今であればさほど珍しくもないサッカーマンガであるが、これが書かれた当時、日本はワールドカップも遠く、Jリーグさえ発足していなかった。しかも今だったらこんなギャグの盛り込まれたサッカーマンガは出てこなかったろう。その分、かわみなみが自由に筆を動かしているので、物語も非常に生きている
作品自体は、とりあえず、絵で嫌われてしまうことが多い。それで人に薦められても、読まず嫌いですごした人は多いはずである。しかし、一度読んでしまうと、病気のようにはまってしまう。「ジョゼが…」「ぼくっておりこう」「それおいしい?」などの言葉を口走るようになり、ウフウフ笑い出したら、もうおしまいである。しばらくこの病気は、治癒しないであろう。(C)少女マンガ名作選
ちなみにこのストーリーは、アドルが主人公のはずなのだが、注目度ではマルロの方が上で、マルロの方が断然人気が高い。その次に位置するのが、おそらくジョゼであろう。少女マンガのはずなのに、恋の話は影が薄い。女性の登場人物の比率が非常に低い。
かわみなみ自身は、それ以前も以降も作品は出しているが、後にも先にもこの「シャンペンシャワー」がベストだろう。もっと世に出ていろんな人に読んでもらえれば、ブームさえ起きたかもしれないのに、あまり表面に出なかったのは残念の限りである。
笑って笑って笑って、最後にせつなくしめてくれた。忘れられない作品の一つである。