少女マンガ名作選作品リスト

担当者:咲花圭良  作成日:1999/6/4

作 品

シャンペンシャワー

作 者

かわみなみ

コミックス

花とゆめコミックス(白泉社・全六巻)

初 版

1984/4/24,12/25,1985/4/25,11/25,1986/4/25,10/25

初 出

『LaLa』昭和58年10月号〜昭和61年9月号

登場人物:アドル(アドリアン・アレクシス)、ジョゼ・オスカル・ベルナルド、マルロ・タリオーニ、アンドレ・ガブリエル・クレモン、ディッコ、リョウ、ジャンルーカ、ケイコ(マルロ妻)、リサ(アンドレ妻)、サフラン、ダヴィッド・アレクシス、マクシミリアン・バーガー、他

あらすじ:南米に位置する国、エスペランサのジャングルで育ったアドルは、十八歳で最下位脱出をかけたFCヴィトーリオにスカウトされ、プロサッカー選手としてデビューする。そこでチームメイトのジョゼやディッコに囲まれ、また、FCサルバドールのマルロや、アンドレなど、色んなタイプの選手との出会いや交流を通して、青年として、またサッカー選手として成長するさまが描かれる。(C)咲花圭良
 ストーリーは、アドルが村に水道や電気を引く目的でプロ入りするところからスタートし、リーグが終了した後、エスペランサ代表に選ばれ、マルロと敵対しながら集団生活などを学び、代表選手として外国選手と戦ったりはずされたり、というのを経験しつつ、次のリーグ戦終了までが描かれる。

コメント:笑いすぎて泣いてしまう。
 あらすじに書いた筋もなかなか面白いのだが、その行間に盛り込まれたギャグがたまらない。もうこれを文章で表現することほど、無粋なことはないのではないかとさえ思う。
 今であればさほど珍しくもないサッカーマンガであるが、これが書かれた当時、日本はワールドカップも遠く、Jリーグさえ発足していなかった。しかも今だったらこんなギャグの盛り込まれたサッカーマンガは出てこなかったろう。その分、かわみなみが自由に筆を動かしているので、物語も非常に生きている

 作品自体は、とりあえず、絵で嫌われてしまうことが多い。それで人に薦められても、読まず嫌いですごした人は多いはずである。しかし、一度読んでしまうと、病気のようにはまってしまう。「ジョゼが…」「ぼくっておりこう」「それおいしい?」などの言葉を口走るようになり、ウフウフ笑い出したら、もうおしまいである。しばらくこの病気は、治癒しないであろう。(C)少女マンガ名作選
 ちなみにこのストーリーは、アドルが主人公のはずなのだが、注目度ではマルロの方が上で、マルロの方が断然人気が高い。その次に位置するのが、おそらくジョゼであろう。少女マンガのはずなのに、恋の話は影が薄い。女性の登場人物の比率が非常に低い。

 かわみなみ自身は、それ以前も以降も作品は出しているが、後にも先にもこの「シャンペンシャワー」がベストだろう。もっと世に出ていろんな人に読んでもらえれば、ブームさえ起きたかもしれないのに、あまり表面に出なかったのは残念の限りである。
 笑って笑って笑って、最後にせつなくしめてくれた。忘れられない作品の一つである。

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