作 品 | ウェディング・ライセンス |
コミックス | プチフラワーコミックス(全2巻 小学館 注:未確認) サンコミックス版(全2巻 朝日ソノラマ) |
初 版 | ――― |
初 出 | 週刊少女コミック(小学館)1973年4月から8月連載 |
登場人物 |
リバティ・バランス | 主人公:神学校に通っていたギャングの1人息子。先代である父の死後、わずか15歳にしてボスにされる。 |
ティルサ・マーチン | リバティが思いを寄せている相手。「マドンナ」と呼んでいる。 |
ビル | バランス一家の先代・リバティの父の片腕だった。 |
コーデリア | リバティの母。リバティをバランス一家のボスに祭り上げる。 |
ルス | リバティの小姓。リバティに思いを寄せる。 |
トーマス・マーチン | マーチン一家のボス。リバティの父殺しの疑いを掛けられる。 |
アラン・ド・ポワソン | マーチンの秘書。マーチンの娘とマーチン一家を手に入れたいと思っている。 |
ディビス・ディリー | リバティの幼なじみ。ビルから護衛を言い付かって、リバティと同じ学校に転入してくる。 |
カール・マイセ | リバティの幼なじみ。ディビー同様、リバティと同じ学校に神学校から転入してくる。 |
あらすじ |
バランス一家のボスであるリバティの父が、何者かによって暗殺された。神学校に通い、ギャング稼業とは無縁の生活を送っていたリバティだったが、母コーデリアの思惑によって、わずか15歳にして37の会社の社長、バランス一家のボスに祭り上げられてしまう。先代の片腕だったビルは摂政の座に落ち着くが、本当はバランス一家の権力を狙っていた。リバティ自身は全くボスになる気はなかったのだが、母コーデリアの策略により神学校を退学させらてしまう。もはや逃げ場所のないリバティ。しかし運命から逃げずにボスとしてやって行こうと決心する。バランス一家のなかで唯一信頼を寄せられる小姓のルス、幼なじみのディビーとカールらと共に、難題をひとつずつクリアして、新しいバランス一家を築いて行く。執筆者・飯塚 父を殺害したのは、噂通りライバルのマーチン一家なのか?それとも真犯人は他にいるのか――?神学生の時からマドンナに寄せられるリバティの恋、母コーデリアの意外な恋、そしてマドンナの意外な素性とギャング一家の興亡で、ストーリーは急展開する。リバティは「ウエディング・ライセンス」を勝ち取れるのか?大団円に向かっての、文字通り“ジェットコースターストーリー”!
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コメント |
メッセージ性の強い竹宮作品の中で、この作品は徹底的に娯楽作品に留まっています。舞台がアメリカ(多分サンフランシスコ)、ギャングもの(!)、急展開するストーリー、飲まれるように読み進めれば、最後は大団円のハッピーエンド。娯楽作品とは言っても、コマ運び、テンポの良いストーリー展開、華やかで滑らかな絵、どれをとっても竹宮作品の中の一級品に劣りません。始めの数ページだけでも、映画を思わせるようなアングルでひとコマひとコマ描き込まれていて、思わず作品世界に引き込まれていきます。読み終わった時には、丁度、良質の娯楽映画を見たような気分を味わわせてくれます。 登場人物も魅力的で、主人公のリバティは見た目はカッコイイのにその性格ときたら、マザコン、一途、感情丸出しと、まさに三枚目。でも優しくて正義感にあふれ、純粋で前向き、いざという時には大胆な行動も取れる。私は竹宮作品の中で一番惚れ込んでいます。気に入った人物は、いろいろな作品に登場させている竹宮ですが、この作品に登場するカール・マイセとその弟のセバスチャン、小姓のルスは「風と木の詩」にも出てます。アランは、名前と性格を少し変えて「変奏曲」のシリーズにも出てます。ルスはこの作品でもストーリー展開のキーマンでしたが、「風と木の詩」でもロスマリネの小姓をやっていて、あっちの作品でも出番は少ないけど割と話のポイントの役回りを演じ、もっとしたたかな感じで、竹宮惠子のかなりのお気に入りなんだなー、と感じてます。 この作品をまだ読んでいない竹宮ファンの方がいるようでしたら、ぜひ読んでみてください。気障な表現をさせてもらえば、「フランス産赤ワイン」のように濃密でコクがあってベルベットのような他の代表作に対して、「カリフォルニア産白ワイン」のように軽やかで華やかで風に舞う薄衣のような作品です。こんな作品も描いてたんだなー、と新たな発見になるかもしれません。代表作が多数発表される直前の73年の作品で、この作品はひとつの転機だったんじゃないかと思います。(C)少女マンガ名作選 |