情緒豊かな、と言えば、あのオスタリカの最後のセリフ「」純然たる殺意」のくだんの、水が入ったコップの底に光りが反射する、の表現が心に残りました。 原案者の後書き(ですよね?)の印象も含まれてしまうかもしれないですが、とても装飾された作品だと思います。色彩的なことは書きましたが、実際のベネチアを感じさせるのは遠景においてだけで、仮面祭の実際の混雑を無視した人気の無さが、かえって実在しない町のような印象を与えて、遠景の具体性と、近景の非現実性から、なんだか箱庭の中での出来事、もしくは演劇の舞台をみているような錯覚を引き起こします。不必要な人物達を可能な限り排除するのも、ひとつの「装飾」といえるのかな? そんな意味合いでも、美しい作品だと思った訳です。 |