作 品 | 紅い牙・ブルー・ソネット | 作 者 | 柴田昌弘 |
コミックス | 花とゆめコミックス(白泉社・全19巻)
MF文庫(メディアファクトリー・全11巻)※紅い牙全編含む |
初 版 | 1 1981/11/25 1982/1/25 2 1982/3/25 3 1982/6/25 4 1982/11/25
5 1983/2/25 6 1983/5/24 ? 1983/9/24 7 1983/11/24 8 1984/4/24
9 1984/7/24 10 1984/11/24 11 1985/3/25 12 1985/7/25 13 1985/11/25
14 1986/3/26 15 1986/8/25 16 1986/12/26 17 1987/5/25
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初 出 | 『花とゆめ』(白泉社)1981年11号〜1986年18号 |
登場人物: ソネット・バージ、小松崎蘭、小松崎ワタル、ヨゼフ・メレケス博士、桐生仁、イワン・フョードロヴィッチ、杵島(きじま)大介、杵島美子(大介母)、榛原(はいばら)奈留、榛原真知、小半(おながら)由里、バード(鳥飼修一)、高橋保弘(バード旧友・文無組メンバー)、清水考一(同)
TARONエスパー集団 サグ、斐川和秀、トリプレックス(マハ・フーブリ・ウェシン)、ゲシュペンスト、エデベック兄妹(ビュスケ・ドロテア)、オクトパス(ローバー、フリーバ、ガスラ、ノセ、ニルヒ、フモン、ゾルグ)
東都日報社会部 榛原デスク(真知・奈留の父親)、要、法(カメラマン)、国枝隆二(ライダー)、坪井記者
県警白根、宮淵、科学者・垂水、木内、角倉書店編集部・久保他
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あらすじ:ハーレムに住むソネット・バージは長い銀髪をもつ美少女だった。父親を知らず、母親に客引きさせられて生活していた。
混血でも父親の容姿を色濃く継いだソネットは、白人の容姿そのもので、ハーレムの黒人の中では小さい頃から周囲のものにいじめられ、母親にも邪魔者扱いされ、成長してからは母親に売春婦として客をとらされていた。
その日も、家に帰るとソネットには客がきていた。激しい頭痛に襲われていて拒むソネットに無理矢理に相手をさせると、母親は旅行カバンを持って出て行った。行為の後、ベッドの上で男は「さて仕事にとりかかるか」というと、ソネットの首をしめはじめた。男がいうには、母親はソネットを捨てて街を出たのだという。ソネットに売春で稼がせた金で着飾り、街の外で男をみつけ、ソネットを残して出て行ったのだという。そしてソネットが邪魔になるので、男にソネットを殺すことを依頼したのだ。(C)咲花圭良
ソネットは首をしめられながら男の言葉が信じられなかった。そしてしめられながら必死であがくと、やがて男の首が爆発して砕け散った。
ソネットは慌てて部屋を出ると、母親の後を追った。
そこへソネットが出て行った部屋へ現れたものがあった。首のない死体をみつけると、部屋へ踏み込んだ女は仲間の男につぶやいた。「これではっきりしたわね」と。女は「TARON―タロン―」という組織の一員で、組織の計画に役立てるためのエスパーを探す要員の一人だったのだ。
そもそも、ソネットが「タロン」という謎の組織に目をつけられたのは、ソネットの最初の客引きの相手がビルとビルの透き間数センチの間にハンバーグ状態で発見された、いわゆる「ペネディクト事件」からだった。
それだけでなく、ソネットの周囲には以前から不可思議なことが起きていた。彼女に近寄った猫が死んだり、ちょっかいを出した男の子のあごの骨がくだけたりと。周囲には悪魔の子と忌み嫌われたが、これはサイコキネシスのたまものであったのだ。
組織のものは部屋を出るとソネットの後を追った。ソネットは街の中で、バスに乗車した母親を発見し、母親をひきとめるためにサイコキネシスでバスを宙に持ち上げてしまった。バスは宙に浮いたままふくらみ、母親をもろとも粉々にふっとんでしまった。
パニックで放心状態のソネットを組織の女が急いで車に乗せると、その場から走り去って行った。
ソネット・バージ――この十六歳の少女こそ、タロンの研究の一環として小松崎博士による遺伝子操作の結果生み出された「古代超人類」の血をもち、潜在的にすさまじい力を持つエスパー、小松崎蘭に匹敵する能力を持つ少女として期待されたのであった。
一方、小松崎蘭は、前の勤務地だった王翠学園を離れ、ドーナツショップの店員となっていた。そこへ、作家の桐生仁が尋ねてくる。桐生は蘭の素性やその身が謎の組織「タロン」に追われていることを知り、またその謎の組織を調べていたのだった。
桐生は前回の王翠での事件(注 紅い牙シリーズ前作「ハトの旋律」)を調べていたのだ。
王翠での事件とは、タロンにより送り込まれた三人によって、王翠学園の生徒たちが激しく変貌し、邪悪なものを徹底的に排除しようとする傾向が生徒たちに出てきたというものだった。その三人とは、一人が英語教師で英会話のヘッドホンを使う授業で生徒を洗脳、あとの二人は生徒で、生徒会の会長と副会長となって生徒達を扇動し、操って行こうとしていたのだった。ところがそこへ図書館員となって潜伏した蘭たちが、洗脳を阻止したのだ。実はその三人は三人ともエスパーで、謎の組織「タロン」から送り込まれたのだった。そしてこのように優秀なエスパーを送り込み、人々を洗脳してやがては世界中を掌握しようとする計画は「ハト計画」と名付けられていた。この時、王翠では阻止できたものの、全国にひろがっているらしかった。
そこで桐生が調べていたのは、ハトであった二人の学生が「雪は降る」の旋律とともに死んでしまった、その理由だった。彼らは脳の中に、ある機械を埋め込まれていた。しかし、その機械がいかなるものかというのは、調査してもらったが結局はわからないということだった。今の科学力では作れるはずのないものなのだ。
しかしタロンとは、そういう組織だった。常識を越えた科学力を持ち、莫大な資金でもって世界掌握を進めようとする組織――しかし、その思惑は阻止しなければならない。そして、桐生は阻止するためには蘭の力が必要だという。
こうして、蘭の義理の弟(蘭からの輸血によってテレパス能力を身につけている)を仲間に加え、タロンに立ち向かおうとするのだった。
そのころ、ソネットがメレケス博士とともに日本へと降り立った。ソネットはタロンという組織の中でエスパーとして訓練されただけでなくメレケス博士によって首から下をすべて人工の体に変えられたサイボーグとなっていた。空港に降り立ったその日、迎えの車に乗せられ道を走る最中、バイクで暴走する質の悪い誘拐団に囲まれ、ソネットは誘拐されるのだが、誘拐された直後、自分の前で運転するバイクの運転者の体をサイボーグと化した素手でひねりつぶした。揚句の果てに他のバイクにのった男たちも叩きのめし、サイコキネシスで持ち上げて地面に叩きつけ、残りの逃げたものたちを素足で追ってバイクに追いつき、これも叩きのめし、皆殺しにしたのだった。
この奇怪な事件はすぐに桐生たちの耳に入る。折しも、蘭の働くドーナツショップに、王翠学園で仲良くなり、一緒にタロンのハトを倒した学生のうちの二人、杵島大介と榛原奈留が尋ねてきた。そこで転校生の話をきく。長い銀髪を持つ外国人の美少女だというのだ。
その後、桐生の調べたバイク誘拐団の事件にいた少女と、この転校生の特徴が同じだとわかり、蘭は、王翠学園にとてつもない力を持つエスパーが現れたことを知る。
また、謎の組織「タロン」とは、世界でも指折りの五つの大軍需企業の頭文字をとって「TARON」とつけられたのではないかと桐生は推測する。
こうして、銀髪の美少女でありながら悲しい過去を持つエスパーサイボーグ・ソネットと古代超人類の血をひく潜在的エスパー小松崎蘭を軸に、桐生仁や鳥飼修一、また後に登場する、その力故に一度自殺まで試みた悲しきテレパシスト小半由里との係わりなどを織り交ぜながら、蘭たちと、世界を掌握しようとする恐るべき組織「TARON」との戦いの様が描かれるのである。
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コメント:当然のことながら、柴田昌弘の代表作ではあるが、「代表作」というからには他にもいくつか長編があるのかと思いがちである。しかし、活動年数が長い割には『ブルー・ソネット』が十九巻を数えるのに、彼の作品で他十巻を超える作品は、青年誌『ヤングキング』連載の『クラダルマ斎女伝説』(十八巻)、連載中の『サライ』で、五巻を越えるものでも、『ブルー・ソネット』と同時進行で少年誌に連載中された『ラブ・シンクロイド』(九巻)があるのみである。
さらに、少女誌『花とゆめ』で『ブルー・ソネット』を柴田の代表作として把握しているものにとっては、突然少女誌から姿を消したという感じで、『クラダルマ斎女伝説』『サライ』はよほどの人でないと知る人も少なく、知っても、「おっさんとうとう趣味に走ったな」という感想を抱くにとどめるのみではないだろうか。逆に、『クラダルマ斎女伝説』『サライ』しか知らない『ヤングキング』読者にとってみれば、まさかおっさんがこんなものを残しているなんて想像だにしないのではないかと思う。
その、『ブルー・ソネット』から現在の、二十年間柴田が何をしていたのかというと、実は私もよく知らない。執筆の場を『花とゆめ』という少女誌から、少年誌へと移し、そして現在の青年誌へと移したらしいのだが、その間新たに刊行されたコミックスは二十年という時間に似つかわしくない数である。
『ブルー・ソネット』終盤の明らかな失速、ようよう終わらせたという感が否めないラストであるが、とにかく『ブルー・ソネット』とはいろんな意味で、柴田にインターバルをもたらさざるをえない作品だったのではないかと思う。
私が『ブルー・ソネット』、そして、シリーズものとしてはバランスは悪いが「紅い牙シリーズ」を知ったのは、『ブルー・ソネット』が既に十巻を越えた後だった。『花とゆめ』という少女マンガ誌で連載された、おそろしく少女マンガに似つかわしくないSFアクションというジャンルの作品だったが、連載は好評で、のみならず横に並ぶ当時の作品群を見ても、美内すずえ『ガラスの仮面』、魔夜峰央『パタリロ!』、和田慎二『スケバン刑事』(途中より『ピグマリオ』)と、知る人ぞ知る作品ばかりで、後続の作家たちと誌面スペースを争いながらも、約六年、走り続けた作品である。その間、『花とゆめ』誌上連載のみならず、前述の『ラブ・シンクロイド』と連載を並行させ、出版物もイラスト集「チェリッシュ・ギャラリー」シリーズで、軽装版、スペシャル、カードギャラリーを出版し、各種グッズ、また記憶に誤りがなければカレンダー、さらに三枚のイメージアルバムが立て続けに発売され、『花とゆめ』のみならず、柴田にとってのみならず、少女マンガ界の一時代の代表的作品としてこの『ブルー・ソネット』はあったのである。
にもかかわらず、今、その同時代に発表され語り継がれている作品群と比べると、その存在感はあまりにも弱く、小さい。
つまりはその全ての理由が、ラストへの失速と、その終わり方にあったのではないかと思う。読み終わった後に、「もう疲れたの? もうイヤなの? 面倒くさいの?」と問いただしたくなるような、尻つぼみ感があるのだ。確かに、一応まとめられてはいる。しかし、いまいちすっきりとはしない。友人などは、最後のバードのとった行動が許せない、などと憤慨していた。この意見は意外と多いようであるが、私はあれはあれでいいと思うし、あの場面のあの状態で、ああでもしなければ男でないような気もする。でないと、あそこまで自分自身を狂わせてしまったソネットがかわいそうすぎる。
しかし、そうしたバードへの一部から上がってくる不満をさしひいても、ラストで「え? これが終わり?」という感は否めない。(c)少女マンガ名作選
私は柴田ではないので、その理由はわからないし、なんとも言えない。
編集部がその時までに終わらせろと言ったのか、ある程度儲けたのでもう書くのがイヤになったのか、疲れたのか、手に追えなくなったのか、描写がえぐいと批判が集中したのか、ファンの期待が大きすぎたのか、それとも柴田があれでいいと思ったのか。(それまでの丁寧さと比べたら、それでは何か納得のいかないものもあるが…。)
とにかく『ブルー・ソネット』とは、少女マンガらしからぬその作風で、少女マンガの一時代を担った作品の一つであることは確かなのだ。ファンを熱狂させ、少女マンガファンの枠を越え、その噂が青少年たちに少女系コミックスを手にとらせるほどに、人気を博したのである。
さて、そもそも「紅い牙シリーズ・『ブルー・ソネット』」となっているが、「紅い牙シリーズ」とは何なのか。
問題なのが、このシリーズを通して主人公・小松崎蘭とは、どういう運命を背負った少女なのか。そして、「紅い牙」とは何なのかということである。
シリーズの主人公・小松崎蘭とは、「作られた存在」である。「タロン」という巨大組織(詳しくはあらすじ参照)の、常識を越えた科学力と莫大な資金を駆使し、様々な超能力者の遺伝子を人工的に掛け合わせて生まれた子供、それが蘭(以下作品中にあるとおりランと表記)である。現在存在する微弱な力を持つ超能力者とは、古代における超人類と呼ばれる人達であり、超能力のない人類に攻め滅ぼされたものたちの末裔たちであるという前提の元、その末裔たちの遺伝子を操作して小松崎博士によって作られたのがランであった。
しかし、結局博士は組織にそむき、親ともどもにランを逃亡させ、結果としてランは狼に育てられることになる。そのランを再びみつけだし、自宅でヒトとして育てていたところへ、小松崎博士の元へ組織の追っ手が迫り、結果天涯孤独の身として生きることを余儀なくされるのであった。
古代超人類の能力を濃くひく血――これが紅い牙である。でも古代開拓を超能力で行った古代超人類のように、ランは思ったように超能力は操れない。
しかし一度目覚めると、髪が紅く逆立ち、人類最強のエスパーが現れる。
裏に暗躍する巨大組織に、エスパーとしての能力を手に入れんがために狙われ、逃亡を続ける毎日。恋人でさえその組織のために死に、そして死んだはずのその恋人は組織によってサイボーグとなって蘇らされた。恋しいのにめったと会うことは許されない。
まして自分自身も、いつ自分の中に眠る古代超人類の怨念――紅い牙に、自我をのっとられるかわからない。
一見、普通すぎるほど普通の少女に、とてつもない運命が背負わされているのである。
シリーズ内のこの作品のタイトルは『ブルー・ソネット』であり、シリーズの中では単独最長(他のものとの長さは比べものにならない)である。「ソネット」とはサイボーグエスパー「ソネット・マージ」の名前である(間違えても十四行詩、叙情詩の意ではない。意味を絡ませてあるかもしれないが。)。ところがこの作品中の主人公はソネットではなく、ここでも紅い牙シリーズそのままで小松崎蘭である。しかもソネットは主人公ランにとっての敵方であり、巨大組織「タロン」に所属するエスパーである。青みがかった銀髪、その不幸な境遇ゆえに「ブルー・ソネット」であって、ソネット自身は真の主人公ではない。しかし、柴田はシリーズ最後の最長編で、このランとは運命的にライバルとなったソネットを、そのタイトルに冠したのである。
その第二のヒロイン・ソネットは、ハーレムに生まれ育ち、母親に売春婦として客をとらされ、そのうちに超能力が目覚め、母親に捨てられるが、その時自らの手で母親を殺してしまうという過去を持つ。その後巨大組織「タロン」に目をつけられて生身の体を捨て、サイボーグエスパーとして生まれ変わった。
これも恵まれた姿態ながら普通の少女としての生き方を全く知らない。
結果初めて知った恋ゆえに、この巨大組織の中で自らの身を落としていくことになる。
このソネットは、主人公ではない。けれども、作品タイトルに冠している以上、主人公と対となる格好で人物ソネットを描き切ろうとしたのは確かであるようだ。敵方という本来悪役にありながら、ランとはまた違った意味で悲劇的な運命を背負った少女として描かれるのである。それは、悪役であるけれども、悲しい運命を背負った悲劇のヒロインという意味で、主人公小松崎蘭と非常に近い存在である。
紅い牙シリーズ『ブルー・ソネット』の面白さは、やはりこの組織の陰謀云々のスケールの大きさにもあるだろうが、主人公ランや、ソネットに代表されるように、運命に翻弄され、誰一人幸福な存在のいない中、ギリギリの中で攻防していく人間ドラマにもあるのかもしれない。
作品中、不幸な存在は多い。
ランの血を輸血されたばかりに、超能力に目覚めた弟(義理の弟である)ワタルは、月に一度ランから輸血されねば体が持たないし、ストーリー途中から同道するユリは、研究者である父親によってテレパシーを発掘され鍛えあげられるが、その制御に苦しむ中、心のよりどころだった恋人との仲を父親と裂かれて発狂し、ランの存在で正気に戻ったテレパスである。自殺を試みて頭から火に突っ込んだため、頭部が焼けただれ、目も鼻も口も実際には使えない。
また友人榛原奈留は巨大組織「タロン」の悪を暴くデータをインプットされた子供であり、後に「タロン」組織に誘拐され、ゲシュペンストなる体のない幽体エスパーに体をのっとられ、殺戮の数々を繰り返させられることになる。
他にも組織に恋人を殺され、復讐鬼と化すエスパー・イワン、天才的能力をもちながら、ユダヤ人であり、火星人のような風貌であるために迫害を受け、果てにタロンの研究者となってサイボーグのソネットやバードを生むことになったドクター・メレケス――あげればきりがない。
SFアクションではあるけれども、ただの、体育会系のノリで書かれたのではなく、それぞれの不幸が交錯しながら巨大組織の陰謀と戦っていく物語なのだ。
いっそつかまって、悪の巨大組織のいいなりになってしまえば楽なのに、それでもランたちはその良心に従って、決してそれに屈しようとしない。彼らの背負った運命もさながら、その精神的戦いが作品の根底を流れていて、どこかいつもせつない。
そこに拍車をかけるように存在し、そして物語そのものの筋書きを狂わせていく、ソネットの恋。
少女マンガ誌におけるSFアクションだからこそ、こうした心の絡み合いによる番狂わせも描けたのではなかったかと思う。大友克洋が同時期『AKIRA』を描いているが、それはそれで秀作なのだけれども、『ブルー・ソネット』を読んだ後では『AKIRA』はどこかもの足りない。
生まれ育った環境とか、そこから生まれる感情とか、そこにまつわる欲なんかで、意外と人生なんて大きく変化するし、狂うことも修正されることもある。一つの巨大組織の陰謀と戦うSFアクションストーリーを描きながら、そこに人間の感情の交錯も描かれているのが、この作品の醍醐味であり、ひきつけてやまない魅力なのではないかと思う。
結末に不満が残るのは確かだが――。
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